研修中の課題~フィールド・ノート~ Nguyen Huu Canh

朝目覚めると、既にクラクションの音が鳴り響いている。

日本とベトナムではクラクションの役割は異なっている。

日本では、危険な時にクラクションを鳴らす一方で、ベトナムでは、自分の存在を相手に知らせるときに鳴らす。実際にバイクに乗っている人の話では、自分がスピードを出していて、ほかのバイクや車を抜かすときにも「抜かすよ」という合図としても鳴らすそうだ。これも自分の存在を相手に知らせているということになる。

 

ここは、幹線通り沿い。

平日は特に朝からの通勤ラッシュで道路はバイク(日本でいう原付みたいなサイズ)

で今日もあふれかえっている。

ベトナムに住む人々の多くの足はバイク。

いつでもどこでも道路は日本では見られないくらい多くのバイクが走っている。

聞いた話によれば、3人に2人はバイクを所有しているのだとか。

本当にベトナムでの生活にはなくてはならない人々の足となっている。

また、朝からたくさんの人々が原付くらいのサイズのバイクに2人乗りをしている。

時には、親子3人や4人で乗っている場合もある。日本では絶対に見られない光景だが、ベトナムではバイクの二人乗りは合法であり、さらに、ある年齢以下の子どもは乗車人数にカウントされないという法律になっているようだ。

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歩道では、バインミーというフランスパンにパテや香草、野菜などが挟まっているベトナムのサンドイッチをワゴンで販売している。

ベトナムでは多くの家庭で朝食を家で作り、食べる習慣がないということで、バイクに乗った人が時折、歩道付近に寄って買っていく。

朝食にはちょうどよいサイズと豊富な具材が入っているため、ベトナムの人々の朝食として一般的なものである。

 

また、ある程度落ち着いた時間帯になると、道路に面した数多くの店先でたくさんの人がおしゃべりをしたり、くつろいでいたりととても時がゆっくり流れているように感じる。

なぜかわからないが、日本のように必ずどこかの店内にいたり、歩いていたり、というわけではなく、座って話をしている光景をしばしば見かけるのである。

 

また、ベトナムでは店が閉まるのが比較的早い。

暗くなると閉まり始めるところが多く、そもそも昼間の暑い時間になるとワゴンの販売も減ってくるのである。

 

ゆっくりと時が流れていると同時に、朝早く行動を開始し、夜は早めに床に就くという健康的な生活が彼らの生活を支えているのだと今日も感じながら、クラクションの音と同時に目覚める。